私たちは生まれてから何千回、何万回と蚊に血を吸われています。

しかし、蚊がなんのために血を吸っているのか、どうすればそれを防ぐ事が出来るのかについてはそれほど熱心に考えたことがありません。

しかし、蚊の生態は本来とても興味深いもので、また人にとって恐ろしい影響を与えるものでもあります。

そこで、このページでは蚊について知っておきたい30のことを紹介します。

蚊について

1.蚊の主食は蜜や果物。オスの蚊・メスの蚊共に主食は植物の蜜や果物です。基本的に、蚊はこれだけで生存していくことが可能です。

2.交尾を終えたメスの蚊だけが吸血する。蚊は卵を産むための栄養素として、血液のタンパク質を必要とします。そのため、私たちをエサにするのはメスの蚊だけです。

このタンパク質がアミノ酸に分解され、体の中のアミノ酸濃度が高まると卵の発育が開始されます。

3.蚊の種類は3000以上。蚊は3000種類以上が報告されており、その種類ごとにさまざまな特徴を持ちます。日本には120種類以上の蚊がいると言われています。

4.無吸血の蚊もいる。蚊の中には人の血を吸わずに卵を産むオオカなどの種類がいます。このオオカは無吸血で他の蚊を捕食するという、おもしろい特徴をもった蚊です。

5.蚊は体重の3倍まで血を吸うことができる。種類によって異なりますが、メスの蚊は平均2mgの吸血を行います。ただし、人の血を吸いきるには100万回以上の吸血が必要になりますので、血が足りなくなる心配はいりません。

6.蚊に噛まれる?刺される?蚊は歯を持っていないので噛むことはできません。鋸状の下顎を使って皮膚を掘りながら、ストローのような管を突き刺します。

7.蚊にも嗜好性がある。吸血する蚊も、種類によってある程度相手を選択します。人を好む人嗜好性・牛や馬などを好む大動物嗜好性・ヘビやカエルを好む冷血動物嗜好性などがあります。

8.メス蚊の平均寿命は2ヶ月未満。種類や環境によって異なりますが、条件が整うと6-8週間生存することができます。その間に週に約2回産卵します。オスの蚊の平均寿命は10日程度。

9.蚊も冬眠する。蚊は暖かい気温を好みます。そのため、一部の種類の蚊は気温が下がると休眠状態となり、成虫のまま冬を越します。

なお、チカイエカなど都市部の温かい場所(ビルの地下など)に生息する種類の蚊は冬眠を必要としません。

蚊の行動

10.まず二酸化炭素で標的を見つける。メスの蚊は小顎髭に二酸化炭素のセンサーを持ちます。このセンサーによって、私たちが吐きだした二酸化炭素によって起きる二酸化炭素の濃度変化を感じ取り接近してきます。

11.次に匂いで大まかな場所を探す。人は様々な匂いを発していますが、汗に含まれるインドール・オクタノールなどの化学物質が、蚊の吸血行動を引き起こす要因と言われています。他にも乳酸や、特定のローション・香水などに寄ってきます。

12.熱で着地場所を特定する。蚊が人の近くまで寄ってくると、口の周りの熱センサーを使って肌に着地します。そして、吸血の為に毛細血管を探し初めます。

13.蚊は早く飛べない・遠くに飛べない。一般的に蚊の行動範囲は、孵化した場所から数百mと限定されていることが多いです。飛行速度もそれほど速くなく蚊は2.0-2.5km以下で飛びます。ただし、一日に数Km移動する蚊もいます。

14.通常10m以下の所にいる。蚊はそれほど高い位置で飛びません。ただし、ヒマラヤの数千mの高さで発見された種類もいます。また、屋内の場合少しずつ移動を繰り返す、エレベーターに紛れ込むなどの方法で高層階まで移動します。

15.オスの蚊は羽音でメスを見つける。メスの蚊は1秒に500回以上羽ばたくことができます。そのため、オスは高い周波数を選んでメスに近づきます。

16.種類によって活動時間がある。ヤブ蚊は昼行性・アカイエ蚊は夜行性と、蚊はその種類によって活動時間が決まっています。この行動時間はとても規律的に決まっているようです。

蚊のトラブル

17.蚊は世界で最も危険な動物。蚊が媒介となる感染症で毎年100万人以上の方が亡くなっています。このため、蚊の多い地域や感染症の多い地域での蚊対策については人類の問題として捉える必要があります。

18.蚊は人類の大先輩。一億七千万年前のジュラ紀の地層から蚊の化石が見つかっており、紀元前のアリストテレスの作品や平安時代の日本の書物にも蚊は登場しています。

19.かゆみの原因は唾液。蚊の唾液が体内に入ると、花粉症と同様に一種のアレルギー反応がおこります。これがかゆみの原因です。ちなみに、初めて蚊に刺された場合はかゆみが起きません。

20.蚊はHIVを感染させません。病原体には蚊の体内で増殖するものと、消化されるものがあります。エイズウイルスは、蚊の体内で消化され感染力をなくしてしまいます。

21.マラリア。マラリアは寄生虫によって引き起こされます。寄生虫が蚊の体内に侵入し、蚊が人を刺した時に人の体内に渡されます。

マラリアが人の体内に進入し、1週間~10日の潜伏期間の後に38℃以上の発熱や、倦怠感、関節痛などのインフルエンザのような症状がでます。2015年の調査では91カ国でマラリアの感染が進行中でした。

22.ジカ熱。ジカ熱はジカウィルスに感染することで発症します。ジカ熱の潜伏期間は3-12日と言われており、微熱、頭痛、関節痛、目の充血、発疹の症状がでます。

しかし、感染しても全ての人に症状が起こるわけではありません。妊婦がジカ熱に感染すると、胎児も影響を受け小頭症になるリスクが上がると言われており、妊婦さんは特に注意が必要な感染症です。

23.デング熱。デング熱はデングウィルスに感染することで発症します。デング熱の潜伏期間は3~7日で、その後突然38℃以上の発熱がおこります。

その他、筋肉痛、関節痛、頭痛、目の痛みの症状を伴うことがあります。感染しても50%以上の方は症状が出ずに終わるといわれています。

24.蚊に刺されすぎるとかゆみが起きない。実は毎日蚊に刺され続けると、特異的な抗体が作られるようになりアレルギー反応は起きなくなります。そのため蚊に刺されてもかゆみが起きなくなります。

マラリア流行地域の人は毎日蚊に刺され続けている事で、ほとんどの方にかゆみが起きません。このかゆみが起きないことが蚊対策・マラリア対策を難しくしているという側面があります。

蚊対策

25.スタンダードな忌避剤はDEET(ディート)。蚊に対する虫除けの有効成分として、最も多く使用されているのがディートです。高い忌避効果を持ち、安価に製造できる優秀な虫除け成分です。

ただし、小児への使用回数制限や、傷口に使用できない、合成繊維や樹脂などを傷めるという弱点があります。

26.新有効成分イカリジン。イカリジンは1980年代に開発された忌避成分ですが、ディートの持つ弱点を補った虫除け成分です。消費者の選択の幅を広げるため、イカリジン配合の製品も多く商品化されています。

子供への使用回数制限がなく、衣服を傷めないためディートに代わる有効成分として期待されている虫除け成分です。

27.レモンユーカリ油も有効。日本で忌避効果の認められている有効成分は、ディートとイカリジンの2つです。しかし、米疾病管理センター(CDC)ではレモンユーカリ油にも忌避効果があると、有効成分として承認されています。

28.蚊の捕食者は魚とトンボ。カダヤシ(蚊絶やし、学名:Gambusia affinis)は、その名の通りボウフラを捕食する魚です。日本では、アメリカメダカとも呼ばれます。こういった魚や、トンボが蚊の捕食者として活躍します。アメリカのいくつかの町では、夏になるとトンボを放し蚊の個体数を自然にコントロールしようと試みています。

29.蚊の数を減らすには刺されないこと。メスの蚊は一度の吸血で100-200の卵を産みます。蚊を増やさないためには、蚊の駆除と同時に、メス蚊に血を与えない事が大切です。

30.蚊を絶滅するとどうなる。蚊は花の蜜を吸って受粉するなど、生態系の中で役割を持っています。絶滅させても全く影響がないという方もいますが、こればかりは実際に絶滅してみないと分かりません。